キースジャレットが聴きたくて… #001
「世界で唯一無二のピアニスト」
キースジャレットの楽曲についてこのブログでも気が向いた時にポストしたいと思ってる。
『Creation』 Part II
この『Creation』というアルバムは2014年のコンサートツアーの中から選抜、編集された「即興曲組曲」で、今まで1つのコンサートを収録して発表していたスタイルとは異なる。
デモーニッシュな現代曲風、アーシーなゴスペルや牧歌、ポリフォニックなバラッド、ブルース、そして讃歌へとそれぞれバラエティーに富むいつもの即興コンサートとは違い、アブストラクトな曲が選抜され一貫性のある組曲となっている。
思うにきっとこのアルバムには何かメッセージが込められているのではないか?そんな気がする。
収録された曲は一曲一曲即興演奏という中で音が丁寧かつ厳格に吟味され構築されており、楽曲全体のバランスもデザインされ整った完成度の高い、聴いていて安心する心地の良いものばかり。
そこには単純、簡素というシンプルさではなく、不要な音は削られひつとひとつに無駄な音がない、最小限の表現でコンセプトが浮き彫りに明確になっている究極なミニマム世界が出来上がってる。
もしやこれはキースジャレットの「吾唯知足」の世界観なのか?
そんなふうにも思った。
時に本人が創造する世界と聴衆の望む天才という偶像とのギャップに挟まれる
孤高の人
もちろんなにかに超越した達人はいつも孤高なのだろう。
そんな晩年に差し掛かった
世界一の天才ピアニスト
ではなく
「世界で唯一無二のピアニスト」
キースジャレットという人間の辿り着いた音を感じ取りたいと思わせるアルバムなのだ。
『Creation』Part II は2014年5月9日、紀尾井ホールで行われたコンサートの4番目に演奏された即興曲。
確かこの日のコンサートは追加で急遽決まった。
自分は3日前のオーチャードホールのコンサートへは行ったのだけど、この素晴らしいホールでの追加公演は金曜日開催で当時銀座のワインバーを経営していた自分は金曜日に休むことはできず断念した公演だった。
紀尾井ホールでのキースジャレットを聞き逃すとは本当に悔やまれる。
さて、この愛おしい曲について書きたい。
BとDの2つの音を軸にモザイクのよう散りばめられ弾け、ディレイのように響き聴こえる音は子供が縄跳びで戯れるような可愛さでその子供のキャッキャとした声が今にも聞こえそうだ。
このアマービレなモチーフは意思を持って歩き始めるが如く次第にポリフォニックになり音域を広げ大地の歌となる。気付くとどこか遠い美しい田園風景にいるようだ。
そしてまたあの可愛いアマービレなモチーフが回帰してとても温々とした優しい気持ちに包まれ終る。
知足…とは
今、普通に生きている事が
なんと幸せなことかを知り、
感謝することだと言う。
在り来りだけど、素晴らしい音楽は心を豊かにしてくれるんだな。
キースジャレットのピアノソロ・パフォーマンスをジャンルでカテゴライズすることはできない。
というか、そんな小さな枠に納めてしまうのはバカバカしく思う。
そう唯一無二なのだから。
キースジャレットは現在74歳、たしか5月には75だ。
2017年2月以降、体調不良が長引きその後のコンサートはキャンセルされ休養中と聞く。
また聴きたいなぁ…。
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